「シャドーイング*が良いって聞くからやってみたけど効果が出なかった」そんなことはありませんか?
※シャドーイング:シャドー(影)のように音声の後に続いて真似するトレーニングのこと
実は正しいやり方をできていないだけかもしれません。
この記事では第二言語習得論の専門家でシャドーイングの第一人者の門田先生の理論に基づき、正しいやり方とスピーキングにも繋げる方法をご紹介します!
※第二言語習得論:外国語を習得するプロセスを研究する学問
シャドーイング学習者が陥りやすい罠
Youtubeや最近では学校でも流行っているようにシャドーイングは正しくやればリスニングに非常に効果のあるだけでなく、スピーキングにも効果があるトレーニングです。
逆に言えば正しくできないと聞こえるようにならなかった、音は聞こえるけれど、意味はわからなくて実践に繋がらない、スピーキングができるようにならなかったという失敗に陥りがちです。
ここでは学習者が陥りやすい罠を大きく5つに分けてご紹介します。
聞こえない音をあぶりだせていない
シャドーイングでまず大切なのは「自分の聞こえない音をあぶりだすこと」「正しい音を文字と紐づけること」です。
意味もわからず「とりあえず真似だけしている」状態になっていないでしょうか?
まずは音声を聞いてみて、内容が何割くらい理解できるか確認してみてください。また音声のどこが聞こえなかったのか印をつけてみてください。
この時1~2文の短い音声であれば「ディクテーション(書き取り)」練習、長文であれば「マンブリング(もごもご可能な範囲で真似する)」練習で聞こえた気になった音を洗い出すのがお勧めです。
聞こえない音をあぶりだしたら、実際はどのように発音されているかチェックし正しい音を認識しましょう。
このとき「音声変化ルール」を知っていると正しい音に紐づけがしやすくなります。日本人が聞きづらい・言いづらい傾向があるのは下記の8つです。
・リンキング
単語の最後が子音で終わり、次の単語の最初が母音で始まる際に音がつながる現象です。
例:have a ⇒「ハヴァ」
・破裂音の脱落
破裂音の脱落を意味します。単語の最後が破裂音(t,k,p,g,d,b)で終わり、次に続音が子音ではあるときに破裂音の発音が消える現象です。
例:that book ⇒「ダッブック」
・hの脱落
hはそもそも子音としてあまり強い音ではないため、消えやすい音です。音のつながりの際、hの後ろの母音でつながります。
例:ask her ⇒「アスカー」
・tの変化 – Flap T
tが母音に挟まれ、かつ強勢を持たないとき弾き音と呼ばれる日本語の「ラ行」のような音に変化する現象です。
例:better ⇒「ベラー」
・tの変化 – 飲み込むT
tの直後にnが続く際、tの音が飲み込まれるように消える現象です。
例:mountain ⇒「マウンッン」
・同化
発音が合体して、もともとの音から変化する現象です。
例:meet you ⇒「ミーチュ」
・子音連続
日本語の特性により日本人は子音の後に母音を入れてしまう傾向がありますが、英語では子音で終わったり子音が連続することがあるので注意しましょう。
音声変化・抑揚など何を再現できていないのかまずはしっかり分析しましょう。
自分に合った教材を使っていない
いきなり映画やTED、Youtubeなどでシャドーイングしようとしていないでしょうか?
最新の研究では現在のレベルを「i」としたときに「i-1」や「i-2」、場合によっては「i-5」といった易しめの教材で始めるといいと言われています。(以前は「i+1」の少し難しめのものが良いとされていました)
「読めばわかるけれど聞くとわからない」「聞いたらなんとなくわかるけれど話すときに使えない」といったことはないでしょうか?
少し易しめの教材からスタートすることで挫折しづらく、またリスニングやスピーキングに直結するトレーニングを進めることができます。
またシャドーイングでは①音を認識して②意味を理解し③実際に真似して発話し④発話した音を自分で再度聞くという多くの処理を一度に行うため、負荷が大きくなります。負荷が大きいからこそ、まずは簡単な教材で進めるのがポイントになります。
読めば「9割ほど」わかる、聞いたときに「7割ほど」わかる教材で進めるのがお勧めです。
内容を理解できていない・意識できていない
聞こえない音をあぶりだし、音声変化を確認できたからとすぐにシャドーイングに取り組んだりしていないでしょうか?
例えばアラビア語の曲を音だけ完コピできたとしましょう。文字がわからない・文法がわからない・意味がわからない状態で突然話せるように・聞いたときに理解できるようになるでしょうか?
シャドーイングは「意味を理解できる内容」について練習することで効果が上がると言われています。
語彙・文法・和訳を確認し、意味を理解できるようにした上で練習することで効果を大幅に上げることができます!
「英語は英語のまま勉強した方がいいに決まってる!」と思われる方もいるかと思いますが、上級者を除き、第二言語習得論では大人になってからの学習の場合、母語を介して理解した方が習得が早いと言われています。
例えば文法ひとつとっても「仮定法過去完了」と言われるのと「3rd conditional」どちらがイメージがつきやすいでしょうか?成人が学習する場合、母語も効率よく取り入れるのが近道になります。
またシャドーイングの際には音だけでなく、慣れてきたら意味まで意識しながら練習することで、聞いたときにわかる・話すときに使える状態になります。ただし、初めから意味まで意識すると負荷が高すぎるので「慣れてきたら」というのがポイントです。
このとき余裕があれば、和訳ではなく情景・場面として英語を捉えるようにすると「英語を英語のまま捉える」習慣がつきます!
いきなりシャドーイング中は難しいという場合は、ふとしたときに下記のような簡単な文で頭の中で場面が追加されていくイメージをすることで慣れていきましょう。
A boy (男の子を思い浮かべる)
A boy is playing soccer (男の子がサッカーをしている状態に情景が変わる)
A boy is playing soccer in the park(男の子が公園でサッカーをしている状態に情景が変わる)
A boy is playing soccer in the park with his friends(男の子が友達と公園でサッカーをしている状態に情景が変わる)
思い込みの音で発音してしまっている
シャドーイング中なんとなく言えた気になってしまって次の課題に取り組んだりしていないでしょうか?
1つの音声で正しく言えなかった発音は他の音声でも言えないだけでなく、それが癖になり直らなくなることがあります。(専門用語で「化石化」と呼ばれます)
そのため、もしついていけないところがあれば一度シンクロリーディング(音声と同時に発話してみる)で音声変化や抑揚、スピードなどがずれていないか確認し、ほぼ「完コピ」を目指して練習することが大切です。
また自分の声を録音して音声と聞き比べたり(「メタ認知」と呼ばれ第二言語習得論的にも効果が高いと言われています)他の人からフィードバックをもらったりすることで、正しい音に矯正していくとさらに効果が高まります。
実践に活かせない
音声があると音声のように発音できるのに、実践ではいつも我流の発音になってしまうといったことはないでしょうか?
これは「音読」を挟むことで解決できます。第二言語習得論でも「なりきり音読」といって話者になりきって音読することでスピーキングにも効果があることがわかっています。
シャドーイングをした後に一度音声を止め、話者になりきって、その音声の世界観に入り込んだつもりで音読してみてください。仮想空間の中での練習を繰り返すことで、実際に同じような場面に出会ったときにさっと言葉が出やすくなるだけでなく、音声なしでの練習を積んでいるので、本番でもよりネイティブらしい発音をすることができます。
さらに出てきたフレーズがパッと出てくるか確認したり、内容を英語で要約したりしてみることで実践でもさらに使いやすくなりますよ!
まとめ
シャドーイングは第二言語習得論という科学的にも認められており、正しくやれば効果が出ますが、正しい方法を知らないと罠に陥り、時間をかけても上達しないということになりがちです。
是非紹介したポイントをおさえて英語力向上に役立ててください!
また下記シャドーイングバディでは、ご紹介したポイントを無意識におさえられるようプログラムが組み立てられており、なりきり音読やフレーズ暗記練習を通じてスピーキング学習まで可能です。
他のサービスと異なり、「なりきり音読」を添削してもらえるので、自分が実際にスピーキングのときに出てしまう癖を専門のコンサルタントに修正してもらうことでより実践に活かしやすくなっています。
今まで「シャドーイングが上手くいかなかった」「シャドーイングは初めて!」「スピーキングにも活かせるシャドーイングがしたい!」という方はまずお気軽に10日間の無料体験にチャレンジしてみてください。
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