【初心者から上級者まで!】レベル別シャドーイング完全攻略ガイド

こんにちは、TORAIZ イングリッシュコンサルタントのYukiです!

英語学習者にとって「シャドーイング」は、リスニングとスピーキング力を同時に鍛えられる非常に効果的なトレーニング法です。しかし、自分のレベルに合っていない方法で取り組むと、かえって挫折してしまうことも。この記事では、英語力別におすすめのシャドーイング方法をご紹介します。

さらに、トライズで推奨する7ステップ方式に沿って、段階的に効果を高める方法や疑問点を解説します。

シャドーイングの7ステップとは?

トライズが提案するシャドーイングは、以下の7ステップで構成されています。これらはすべてのレベルの学習者に共通するプロセスです。

  1. まず音声を聴く:一度何も見ずに音声を聞き、内容と音のイメージをつかみます。
  2. マンブリング:テキストを見ずに、聞こえた音をなんとなく口に出して真似します。(声に出すハミングのようなイメージです)
  3. テキストチェック:スクリプトを確認し、知らない単語や表現を調べます。
  4. シンクロリーディング:スクリプトを見ながら、音声に合わせて同時に声に出して読みます。
  5. プロソディーシャドーイング:イントネーションやリズム、抑揚に注意して、話し方を真似ながらシャドーイングします。
  6. コンテンツシャドーイング:意味をしっかり理解しながら、感情をこめてシャドーイングします。
  7. メタ認知:録音して自分の音声を確認し、第三者の視点に立って自身の改善点を把握します。

初級者は最初の一歩”耳づくり”

まずは音に慣れる

初級者の最大の目的は「音に慣れる」ことです。まだ英語の音やリズムに耳が慣れていないため、意味を正確に理解するよりも、まずは「英語らしい音」に触れ、発音をまねる楽しさを体感する段階です。

 

◆学習方法(7ステップの活用)◆

  1. まず音声を聴く段階では、長さが30秒〜1分程度の短い会話を使いましょう。(1回)
  2. マンブリングでは、聞こえた音を「モゴモゴ」声に出すだけでもOK。意味がわからなくてもリズムを真似ることが大切です。(2回)
  3. テキストチェックで、単語やフレーズの中から分からなかったものをノートにまとめていくと語彙力アップにもつながります。
  4. シンクロリーディングでは、指で文字を追いながら声を出すと集中力が高まります。(10回)
  5. プロソディーシャドーイングは、まずは音調をそっくり真似ることが目的。ゲーム感覚で取り組んでみてください。(10回)
  6. コンテンツシャドーイングでは、セリフの意味を日本語で確認したうえで声に出しましょう。(10回)
  7. メタ認知では、録音を聞き返して、自分の声が音声とどれくらい似ているかを確認します。

 

中級者は”英語脳”を育てるシャドーイング強化法

音声と意味を同時に意識する

中級者の目的は「意味を意識しながら音を追えるようにする」ことです。ある程度語彙や文法の知識がある学習者が、シャドーイングを通じて「聞き取る力」と「話すための土台」を育てる段階です。

 

◆学習方法(7ステップの活用)◆

  1. まず音声を聴くでは、1〜2分程度のナレーションや対話を使用し、話の概要をつかみましょう。(1-2回)
  2. マンブリングは、より音の細部に注目。聞こえた通りに口を動かすことで「音の癖」がわかります。(2-3回)
  3. テキストチェックでは、文構造や語彙の使われ方に注目。文法的な気づきも大切です。
  4. シンクロリーディングでは、まずは0.7倍速ほどで練習を重ね、スピードを徐々に上げていきます。慣れてきたらスクリプトを見ないでチャレンジしてみてもOK。(10-15回)
  5. プロソディーシャドーイングでは、特に抑揚・リズムを意識。英語らしい「間」や「勢い」を真似していきます。(10-15回)
  6. コンテンツシャドーイングでは、話者の意図や感情をくみ取りながら声に出しましょう。発話に「感情」をのせる練習です。(10-15回)
  7. メタ認知では、聞き返した録音をもとに「自分の弱点」を分析し、改善のヒントをつかみましょう。

 

上級者はネイティブ級を目指す!”再現トレーニング”

生きた英語を操る

上級者は「実際の場面に近いスピード・内容で英語を理解し、話せるようになる」ことが目標です。発音やリズムを完璧にするだけでなく、思考スピードや表現力を高めることが重要になります。

 

◆学習方法(7ステップの活用)◆

  1. まず音声を聴くでは、3〜5分のプレゼンテーションやディスカッションを扱い、情報の流れを意識します。(1-3回)
  2. マンブリングでは、聞こえた音をそのままリズムとテンポを意識しながら真似て、話者の呼吸やスピード感を体にしみこませます。(3-5回)
  3. テキストチェックでは、複雑な語彙やイディオム、言い換え表現などをしっかり分析し、応用力を高めましょう。
  4. シンクロリーディングでは、音声スピードに完全に合わせることを目指します。難しければセクションごとに繰り返し練習します。(20回以上)
  5. プロソディーシャドーイングでは、プロフェッショナルな話し方や説得力のある抑揚に注目。話し方自体をプレゼン練習にも活かせます。(20回以上)
  6. コンテンツシャドーイングでは、自分が話者になりきるような気持ちで、内容を完全に理解しながら感情を込めて音読します。(20回以上)
  7. メタ認知では、録音を第三者目線で聞き返し、「伝わるか」「説得力があるか」等までチェックできると理想的です。

 

レベル別おすすめ教材の特徴比較表

シャドーイングを効果的に進めるためには、「今の自分に合った音声教材」を選ぶことが非常に重要です。英語力に対して内容が難しすぎたり、スピードが速すぎたりすると、正しいステップを踏む前に挫折してしまう可能性もあります。逆に、やさしすぎる教材では効果が実感しづらく、モチベーションが続かないことも。

そこで、初級・中級・上級の各レベルごとに、最適な教材の特徴を「内容」「単語レベル」「話者のスピード」「アクセント」の観点から整理した比較表をご用意しました。ご自分に合ったレベルの教材を選ぶ参考にしてください。

レベル 内容の例 単語レベル 話者のスピード アクセント
初級(TOEIC 300〜495) 日常会話、自己紹介、簡単な質問と応答、買い物や道案内など 基礎的な語彙(例:go, want, eat, today)1500語以下 ゆっくり、明瞭(80-100wpm) アメリカ英語中心、はっきりした発音
中級(TOEIC 500〜695) ニュースの要約、旅行体験、意見表明、短いストーリー 中学〜高校語彙           (例:require, environment, prefer)           約4000語 やや早め   (100-130wpm) アメリカ・イギリス混合。自然な話し方
上級(TOEIC 700〜) プレゼン、議論、抽象的テーマ(リーダーシップ、経済など) ビジネス・アカデミック語彙     (例:implement, sustainable,perception)5000語以上 ナチュラル(140wpm以上) 多様(米・英・非ネイティブ含む)

 

シャドーイングを進めると出てきやすい疑問3つ

シャドーイングを実践していく中で「こういう場合はどうすればいいの?」といった疑問が出てくるのは自然なことです。むしろ、疑問が出るということは、学習を「深く理解しようとしている証拠」です。

ここでは、実際の学習者から多く寄せられる代表的な質問3つを取り上げ、それぞれの背景や考え方、具体的なアドバイスをわかりやすく解説していきます。

スクリプトなしだと音声についていけない

スクリプトなしで音声についていけないという状況は、シャドーイング学習の初期段階や、少しレベルの高い教材に挑戦する際に非常によくあることです。これは、リスニング力、単語・文法知識の定着度、発音の認識力、そして即時的な発話力の総合的な課題が表面化しているサインと言えます。

主な原因

  1. リスニング力の不足: 音声のスピードが速く感じられたり、単語やフレーズが繋がって聞こえる(リエゾン、フラッピングなど)ために、個々の音を認識しきれていない。
  2. 語彙力・文法力の不足: 知らない単語や文法構造が出てくると、その部分で思考が停止してしまい、後続の音声を聞き逃してしまう。
  3. 発音の認識のずれ: 自分が認識している発音と実際の音声の発音が異なると、聞き取ることが難しくなる。特に、ネイティブスピーカーの発音には、日本語にはない音や音の変化が多く含まれます。

◆アドバイス◆

  • ステップ1:精聴と理解: まずはスクリプトを見ながら、音声が何を言っているのか正確に理解することに集中します。知らない単語や表現は調べ、文法構造も確認しましょう。
  • ステップ2:スクリプトを見ながらのシャドーイング: スクリプトを見ながら、音声に合わせてゆっくりとシャドーイングします。発音やイントネーション、リズムを意識しましょう。
  • ステップ3:部分的なスクリプトなしシャドーイング: 短いフレーズや文単位で、スクリプトを見ずにシャドーイングしてみます。もし詰まってしまったら、すぐにスクリプトを確認し、再度挑戦します。
  • ステップ4:スクリプトなしシャドーイングへの挑戦: ある程度慣れてきたら、スクリプトを見ずに全体を通してシャドーイングに挑戦します。最初は完璧にできなくても気にせず、途中で止まっても良いので最後までやりきることが大切です。
  • ステップ5:振り返り: スクリプトを見ながら、自分が聞き取れなかった箇所、発音が難しかった箇所などを確認します。なぜ聞き取れなかったのか(単語を知らなかった、音の変化に気づかなかったなど)を分析し、今後の学習に活かします。

 

反復練習をすると内容を覚えてしまう

シャドーイングを何度も繰り返していると、当然ながら内容をある程度覚えてしまうのは自然なことです。そのため、「内容を覚えてしまうと意味がないのでは?」と不安になる学習者も少なくありません。

しかし、シャドーイングの目的は「その音声の内容を丸暗記すること」ではなく、「新しい音声に出会ったときにも同じように聞き取れる力を養うこと」です。つまり、反復の中で身につけるのは「特定のスクリプト」ではなく、「音のパターン」「語順の感覚」「文法と語彙の瞬時理解力」といった、より汎用的なスキルです。

◆アドバイス◆

内容を覚えてしまうのはむしろ自然なステップであり、成長の証です。大切なのは、その音声を通じて「どんな発音・リズム・表現を習得したか」に意識を向けることです。

例えば、「この話し方のリズムが掴めた」「この言い回しを口に出すとスムーズに言えるようになった」といった気づきが、次の音声や実際の会話でも生かされます。

実際の学習では、1つの教材を5~10回程度繰り返したら、同じレベル・ジャンル・スピードの新しい音声に移ってみましょう。そのとき、初めて聞いたはずなのに「なんとなく聞き取れる」「文構造がすっと入ってくる」と感じられたら、それはシャドーイング効果が現れている証拠です。

 

完璧にできない

多くの学習者が「完璧に真似できるまで次に進んではいけないのでは?」と悩みがちですが、シャドーイングの本質は「完璧な再現」ではなく、「自分の中に英語のリズムや構造を取り込むこと」にあります。音声と完全に同じスピード・発音で真似するのは、たとえ上級者でも難しいことです。大切なのは、自分なりにその音に近づこうとする「プロセス」の中で、英語の音声処理能力やスピーキング力が鍛えられていくという点です。

また、1文1文を100%そっくり真似することにこだわりすぎると、かえって学習がストレスになり、継続が難しくなることもあります。あくまで「完璧」は目標のひとつであって、今の自分と目標との距離を意識する材料として使うとよいでしょう。

 

◆アドバイス◆

最初は「うまくできないのが当たり前」です。むしろ、途中で噛んでしまったり、言い直したりしながらも、少しずつ「より英語らしく言えるようになる」ことに価値があります。録音をして、自分の成長を客観的に聞き返すこともおすすめです。

また、「完璧に真似しなきゃ」というプレッシャーを手放すことで、よりリラックスした状態でリズムや抑揚に集中できるようになります。段階的に上達していく過程を楽しみながら取り組むことが、継続と上達への近道です。

 

まとめ

本記事で紹介した7つのステップは、英語の音に対する感覚を磨くだけでなく、自分の発話を客観的に見つめ直し、より自然で伝わる英語へと導いてくれます。

また、完璧を求めすぎず、「できる範囲でやってみる」「何度も繰り返す」ことが、結果的に大きな効果を生みます。反復する中で、英語の構造やリズム、話し方のニュアンスが自然と体に染み込み、リスニングもスピーキングも飛躍的に向上していくでしょう。

自分のレベルに合った素材と練習法を選び、毎日の習慣として少しずつ取り入れていくことが、英語力を本質的に鍛える近道です。今日からでも、ぜひ一歩踏み出してみてください。

ではまた次の記事でお会いしましょう!